関空 ~ 香港
  ロンドン時間21日朝9時、曇りのヒ-スロ-空港に着いた。タラップからぞろぞろと乗客が降りた。一日がかりの飛行機の旅であった。彼と長い通路を歩いて出国審査場に向かった。そこは、既に300人ほどが8列に並んでいる。「30分以上はかかりそうだ」と彼が言った。約40分後、出国審査を済ませ荷物受け取りコ-ナ-に向かった。頭上の電光掲示板に、TG914便のテ-ブル番号が表示されている。バッグデリバリーの上に自分のトランクが見えた、ほっとする瞬間だ。彼のトランクが先に回ってきた。彼は「叔父が迎えに来ている」と先を急いだ。僕はアイルランドへの乗り換えが待っている。荷物を受け取った乗客達はぞろぞろと空港ビルの出口に向かう。世界各国から分刻みでジャンボが降りてくる。そのために、構内はどこも大混雑している。発着ロビーには自由に使えるキャリ-が用意されている。乗客がトランクや荷物を載せて利用している。僕はキャリ-を使わずに「ガラガラ」とトランクを押して行く事にした。出口付近は出迎えの人達で混雑している。ホテルのプラカ-ドを持った者や、個人名を書いた白いハンカチを両手で「ヒラ、ヒラ」させながら出てくる乗客の反応を追い求めている。

 広いため、タ-ミナル1(アイルランド行き)への行き方がわからない。近くにいた人に行き方を尋ねた。「前方の地下通路から行けれますよ」と案内してくれた。電光掲示板の矢印に従ってタ-ミナル1の方へ向かった。黄色指示版は親切にも20mほど間隔に設置してある。通路は広くて明るいが人通りは少ない。「長い通路やな-・・・」とぼやいているとタ-ミナル1に着いた。1階が到着ロビー、2階が出発ロビーとなっている。一階の両替所で150ポンド(1英ポンド186円 )を換金し、2階のエア-リングス航空社のカウンタ-に向かった。壁に緑の三つ葉のクロ-バ-がプリントされている。「アイルランドの香」、緑の制服を着た女性の受付係が見えている。お客はまばらで予約カウンタ-前は寂しい。ヒースローの混雑がうそのようである。待つ事もなくエア-リングス航空のE I-157の予約ができた。ヒ-スロ-とダブリン間の航空運賃は税込みで104ポンドであった。「157」は有名な病気の言葉だ。偶然とは言えいやな予感がする。電光掲示板には「遅れ」の表示ばかり点灯している。出発ゲ-トは約20分ほど遅れて開いた。待っていた乗客達がぞろぞろと階段を降りて行った。

 下に送迎用のマイクロバスが待っていた。満員になると、曇り空の滑走路端をE I-157のタラップに向かった。駐機場に数機の中型機が羽を休めている、ジャンボ機はなくひっそりとした空港だ。バスがタラップに着くと、入り口でスチュア-デスが挨拶をしながら乗客を誘導している。機の尾翼に緑色の三つ葉のクロ-バ-がプリントされている。古いDC型機で窓は小さく座席も狭くてクッションがよくない。満席の機は定刻の11時を約30分遅れて離陸した。直ぐに機内説明と機長の挨拶があった。離陸後機はぐんぐんと高度を上げながら大きく右旋回し、機首を西に向けた。ダブリンまで1時間の旅である。天気はよくない。EI-157は雲の中に突入した。雲の上に出ると、青空と白雲が織り成す青と白の綺麗な世界だ。ドリンクのサ-ビスが始まった。コ-ヒ-を注文するとクッキ-を添えてくれた。隣の若い女姓が小さい綺麗なボトルを貰った。「それは何んですか」と尋ねたら、「ワインです。味は良くないですよ」とストレ-トの返事が返ってきた。彼女の「忠告」を無視して、帰りの便でそのボトルを貰おうと密かに決めた。

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